平原草々の日記

思ったこと、音楽、本の感想など

その他の本

小澤征爾・大江健三郎『同じ年に生まれて』

小澤征爾さんと大江健三郎さんとの対談集『同じ年に生まれて』(中公文庫)を読みました。 大江さんの知性、小澤さんの感性がぶつかり合う、とても刺激的な本でした。 どちらも、創造者としての永年の経験から身に付けられた自負や秘訣を、高い次元で語り合…

最果タヒ『きみの言い訳は最高の芸術』

最果タヒさんの『きみの言い訳は最高の芸術』(河出文庫)を読みました。 現代詩の作者ということで、はっちゃけた(?)内容を期待したのですが、思いのほか正統的なエッセイ群でした。 周到に用意されたかのような言い回しからは、著者の優等生的な面が滲…

柄谷行人『マルクスその可能性の中心』

柄谷行人さんの『マルクスその可能性の中心』(講談社学術文庫)を読みました。 柄谷行人さんと言えば、私が学生の頃は、とても人気のある思想家であり、私も講談社学術文庫や講談社文芸文庫から出ていた、その著作を集めては、難しい議論についていけないこ…

作田啓一『個人主義の運命 ー近代小説と社会学ー』

作田啓一さんの『個人主義の運命 ー近代小説と社会学ー』(岩波新書)を読みました。 ルネ・ジラールの「主体ー媒介者ー客体」という三項図式をもとに、さまざまな文学作品を読み解いていったり、西欧における個人主義の変遷を考察したりと、小著ながらとて…

ユーリー・ボリソフ『リヒテルは語る』

ユーリー・ボリソフの『リヒテルは語る』(ちくま学芸文庫)を読みました。リヒテルは、偉大なピアニストの一人ですが、私は今一つ好きになれないでいます。 そんなに沢山録音を聴いたわけではないですが、好んで聴くものはあまり多くないです。 一番心に残…

菊池良和『吃音の世界』

菊池良和さんの『吃音の世界』(光文社新書)を読みました。 私も吃音があります。 言葉が出にくい難発性吃音です。 まず、自分の名前が言えないことがあります。 また、人の名前も種類によっては言えないことがあります。 その他、ふとした瞬間に、頭の中に…

斎藤幸平『人新世の「資本論」』

斎藤幸平さんの『人新世の「資本論」』を読みました。 最後の方は駆け足の読書になってしまいました。 なぜなら、脱成長コミュニズムという論点はとても興味深いと思う反面、著者の解答が最初から明示されており、その後の多くが、著者の主張を正当化するた…

渡部昇一『知的生活の方法』

渡部昇一さんの『知的生活の方法』を読みました。 読んだといっても、つまみ読みのような感じですが、知的生活を送るためのいろいろなアイデアに満ちていて、実現可能かどうかはさて置いても、様々なヒントにあふれています。 この本のなかに登場する、著者…

マルクス・ガブリエル他『未来への大分岐』

マルクス・ガブリエル他『未来への大分岐』(集英社新書)を読みました。 この本には、マイケル・ハート、マルクス・ガブリエル、ポール・メイソンの3名の方それぞれと、斎藤幸平さんとの対談が収められています。 それぞれの方が、比較的同じ方向を向いた考…

斎藤幸平『100分de名著 カール・マルクス 資本論』

斎藤幸平さんの『100分de名著 カール・マルクス 資本論』を読みました。 マルクス・カブリエルからのつながりで、この本を読んでみることにしました。 小著ながらとてもわかりやすく、希望が感じられる本だと思いました。 マルクスについては、きちんと読ん…

丸山俊一 他『マルクス・ガブリエル 欲望の時代を哲学するⅡ』

丸山俊一 他『マルクス・ガブリエル 欲望の時代を哲学するⅡ』(NHK出版新書)を読んでいました。 先日、前作については記事にしましたが、納得はいかないまでも気にはなったので、Ⅱも買って読んでみることにしました。 うーん、やっぱり私には、屈託がなさす…

丸山俊一 他『マルクス・ガブリエル 欲望の時代を哲学する』

丸山俊一 他『マルクス・ガブリエル 欲望の時代を哲学する』(NHK出版新書)を読みました。 NHKでの放送は観ていません。 中身は語りなので、一つ一つの話題について、そこまで深く掘り下げられている訳ではないですが、いろいろな思考のヒントがちりばめら…

クレーの言葉

「私をこの世で理解することはできない。なぜなら、私は、まだ生まれていない者や死者のところに同居しているからだ。創造の心髄にかなり近寄ってはいるが、まだ十分近いとはいえない。私は暖かさを放射しているのだろうか?冷たさだろうか。白熱を超えると…

ズザンナ・パルチュ『パウル・クレー』

ズザンナ・パルチュの『パウル・クレー』を読みました。 クレーは好きな画家です。 特に「忘れっぽい天使」の、つつましやかな佇まいが好きです。 画集などが欲しいのですが、地方では、なかなか手に入りにくく、やっとこの本を見つけて喜んで購入しました。…

清水穣『永遠に女性的なる現代美術』

清水穣さんの『永遠に女性的なる現代美術』(淡交社)は、最良の現代美術入門だと思います。 刊行から20年以上たち、現在では古本屋でしか入手できない状況ですが、最近読み返してみて、その洞察の深さに改めて驚かされました。 いわゆるポストモダン思想の影…

ロラン・バルト「シューマンを愛する」

ロラン・バルトの「シューマンを愛する」という文章を紹介します。 私は、マルセル・ボーフィス著『シューマンのピアノ音楽』という書籍に序文として収められたもの(「シューマンを愛す」小坂裕子訳)と、『第三の意味』に収められたもの(「シューマンを愛…

フロイト『精神分析入門』を読む②

今回は、第二部「夢」に入ります。第五講「種々の難点と最初のアプローチ」 フロイトはまず「夢そのものがまさに神経症的な症状であり」「精神分析の研究対象となる」と言います。 夢は視覚が優位であり、その人だけが見ることのできる映画みたいなものでは…

フロイト『精神分析入門』を読む①

フロイトの『精神分析入門』を読んでいきたいと思います。 新潮文庫の高橋義孝・下坂幸三訳のものを読みます。 私の勉強と治療をかねて、少しずつ読んでいきます。 この本は、ほとんど全編に渡って深い洞察に満ちていると思っていますが、難解な部分も多いの…

メルロ=ポンティ「眼と精神」

メルロ=ポンティの「眼と精神」を紹介します。 メルロ=ポンティも、私が学生の頃から人気のある哲学者でしたが、邦訳が、みすず書房か法政大学出版局という比較的値段が高い出版社から出ていたこともあり、読みたいけどなかなか買えない状態でした。 この「…

水野俊哉『成功本50冊「勝ち抜け」案内』

水野俊哉さんの『成功本50冊「勝ち抜け」案内』を紹介します。 私は、昔の版のものを持っており、これと続編の『成功本51冊もっと「勝ち抜け」案内』の2冊を所有しています。 現在は、『人生を勝ち抜く! 「成功本」50冊 超読書術』というタイトルで、再編集…

フロイト「喪とメランコリー」

フロイトの「喪とメランコリー」という論文を読んでみました。 講談社学術文庫から出ている『メタサイコロジー論』(十川幸司訳)所収のものと、光文社古典新訳文庫から出ている『人はなぜ戦争をするのか』(中山元訳)所収のものの2種類で読みました。 今か…

木村敏『時間と自己』

木村敏さんは、著名な精神科医で、書籍も多く出しておられ、私も学生の頃から難しいなりに何冊か読んできました。 木村さんは、ピアノを弾かれる方で、音楽に関する論考もあったりして、音楽好きだった私にも近づきやすかった面もあると思います。 この『時…

本田健『ユダヤ人大富豪の教え』

本田健さんの『ユダヤ人大富豪の教え』は、とても有名な自己啓発本です。 若い頃に買って読んだのですが、ほとんど忘れていたので、この度、改めて読んでみると、とても面白く、色々考えさせられました。 この本を読むと、お金との付き合い方や、生き方につ…

ブーニン『カーテンコールのあとで』

ブーニンの『カーテンコールのあとで』という本を紹介します。 スタニスラフ・ブーニンは、1985年のショパン国際ピアノコンクールで優勝したことで、一躍日本でも有名になったピアニストです。 私はまだ子供だったのですが、当時のブーニン・ブームについて…

マルコム『ウィトゲンシュタイン』

ノーマン・マルコムの『ウィトゲンシュタイン』(板坂元訳)を紹介します。 平凡社ライブラリーから出ているもので読みました。 学生の頃、哲学者に関する本で初めて読んだのが、永井均さんの『〈魂〉に対する態度』という本でした。 何故この本を選んだのか…