平原草々の日記

思ったこと、音楽、本の感想など

二階堂奥歯『八本脚の蝶』

この『八本脚の蝶』は、あるブログで紹介されていて、河出文庫に入ったタイミングで読みました。
優秀な女性編集者として活躍されていた25歳の著者が、自死されるまでの日記が綴られています。
最初の方は、頻繁に言及されるさまざまな固有名詞に知らないものが多く、また、著者の圧倒的な読書量と、独特の愛着の世界についてゆくのがやっと、といった感じで読んでいました。
しかし後半、特に亡くなられた2003年4月の日記の内容となると、死への願望が強く感じられ、なんとも言えないせつない気持ちになります。

「最後の魔法のおかげで世界はとても綺麗です」
亡くなられた2003年4月26日の日記の一節です。

この一節を読んで、ふと思いました。
2002年7月11日の日記に、小学校3年生の時に、図書館の子供の本コーナーから大人の本コーナーに乗り出し、「まほう」に関する本を調べ、国書刊行会の「世界魔法大全」を出してもらって全部読んだという記述があります。そして、その中の『魔術ー理論と実践』の「実践」に期待したものの、箒に乗って空を飛ぶ方法が書いていなかったので憤慨したと書いておられます。
最後の魔法で綺麗になった世界には、箒に乗って空を飛ぶ方法が、やはりなかったのでしょうか?
著者が、いろいろな方法を試され、最後に飛び降り自殺という手段を選ばれたことに、何か不思議な因縁が感じられました。
読後、著者が生き残る方法、空を飛ぶ方法があったとしたら、それは一体、どういったものだったのだろうかと、いろいろと考えさせられました。
いくら考えても答えはわかりませんが、私は、この方の死にいつも立ち返って考え続けたいと思っています。