平原草々の日記

思ったこと、音楽、本の感想など

田舎にて

・・・「人間の運命なんて妙なものだ。こうして、ここにもう一度戻ってくることになるなんて。気分はなんとなく落ち着いている。絶望的な感情が少しずつ薄らいできて、なんとなく、こう、春の光を感じることができるようになりつつある。でも、状況はまだまだ未定であり、これからのことで不安はいっぱいだ。ただ、前よりかは苦しみで心が押しつぶされそうなことは減ってきている。治療の効果かな?それとも時間の推移のおかげかな?ただ、これからのことは慎重に決めていきたいと考えている。心の奥底には、「きっと大丈夫、きっと大丈夫だよ」という気持ちがあるから、これを糧に、今後、どのような試練が待っていようとも、ひとつずつこなしていこうと思う。

田舎の人々の暮らしは穏やかで僕の心を落ち着かせてくれる。ここには、日々をあくせく過ごすあわただしさはなく、たしかな時間の流れの中で、日々の営みをおこなう謙虚な生が息づいている。僕の心は、この環境に守られて、安らぎをおぼえている。雪解けの水が小川に流れて、やさしい調べを奏でている。冬の日の光がくっきりと山々の草木の輪郭を照らし出し、葉を落とした木々が、それでも懸命に天に向かってその枝をさしのばしているかのようだ。しんと静まった空気のなかで、ときおり雪ずりの音がするばかり。

若いころには憂鬱にしか感じなかったこの山々に、今はやさしく抱かれて心をそっと包んでもらっているかのような気分になる。

家の裏山にある墓所への道の雪をかき、父と滑りやすい道をゆっくりと登って墓参りをした。線香の煙が、雪の上をそっと滑る。

僕の人生を立て直す場所は、やはり、ここしかないのだと思うと、ここでの暮らしを通して、もう一度、自分の生きる道を考え直してみたいと思う。そして、己の心に無理がないように、心から来るものを信じて生きていきたいと願う。この谷間に射し込む、おだやかな陽の光のように」・・・