平原草々の日記

思ったこと、音楽、本の感想など

高橋悠治『Yuji Plays Bach』

高橋悠治さんの『Yuji Plays Bach』を紹介します。

以前、バッハの「主よ、人の望みの喜びよ」を紹介した時に挙げたアルバムであり、これも私のとても好きな一枚になります。

高橋悠治さんは、ピアニスト、作曲家、著述家等と多彩な才能を持っておられる方です。

著作は「ロベルト・シューマン」や「カフカ/夜の時間 メモ・ランダム」などを読みました。いずれも、煌めくような洞察が随所にあふれる書籍で、著述家としても、とても素晴らしい方だと思います。

作曲家としては、永井幸枝さんのピアノで「光州1980年5月」を聴いています。静かな緊張、黙した慟哭を感じさせる作品だと思います。

ピアニストとしては、いろいろなアルバムを出しておられ、数枚は所有していますが、手に入らないものも多く、悔しい思いをしています。

このアルバムは、バッハ作品のピアノ・トランスクリプション集になります。

ブゾーニ編曲の「トッカータとフーガ ニ短調」、「シャコンヌ」、ケンプ編曲の「シチリアーノ」など有名な編曲作品に交じり、ピアニスト本人の編曲で「フーガト短調」と「主よあわれみ給え」の2曲が入っています。

この2曲は、ご本人のホームページで楽譜が入手でき、私も印刷して練習しています。

特に「主よあわれみ給え」は、難しいですが、原曲もマタイ受難曲の中の感動的な1曲であり、弾いていると自然と敬虔な気持ちになってきます。

 アルバムの印象としては、ぶっきらぼうな中にも繊細な情感が感じられ、まるで一人で夢見ながらピアノを弾いているかのような様子が思い浮かびます。

なんとなく、グールドが弾いたブラームスの間奏曲集に似た雰囲気を持っているように思います。

そのため、一人でゆっくりと物思いに耽りたい時などに、よく取り出して聴いてます。

また、高橋悠治さんのアルバムでは、他に新ウィーン学派ピアノ曲集も好きで、これも、ポリーニや、ピーター・ヒルの演奏などと一緒に良く聴いています。