平原草々の日記

思ったこと、音楽、本の感想など

マーラーの「大地の歌」

マーラー交響曲を好きな順に並べろと言われたら、今なら「9番」>「大地の歌」>「4番」>「5番」>「7番」>「1番」=「2番」=「3番」=「6番」=「8番」 番外「10番」といった感じの並びになります。

「9番」は作曲家が最後に完成させた交響曲とあって、革新的な書法と耽美的な表現、死の情念が共存した稀有な作品だと思います。

そして「大地の歌」もその系列にある作品だと思いますが、声楽を伴うことと、東洋趣味を採用していることで、また違った側面から、耽美性や、別れの情念を描き出しているように思います。

全部で6曲の歌曲から成り立ってはいるものの、6曲目の「告別」が全体の半分近くを占めるなど、構成は若干アンバランスのように思いますが、特にこの6曲目に、この作品の世界観が凝縮して表現されているように思います。

 

バーンスタインウィーンフィル

まさに耽美的といえる演奏です。アルトの代わりに、バリトンフィッシャー=ディースカウが歌っており、特に、その歌唱が素晴らしいと思っております。

ウィーンフィルの音色が黄金色に輝き、東洋趣味を煌びやかに現前させ、バースタインの表現も意欲十分であり、この作品の持つ耽美的、東洋的な美感を遺憾なく表現しているように感じます。

特に終曲の表現は、全編を通してとても素晴らしいものがあり、フィッシャー=ディースカウの名唱と相俟って、とても感動的な演奏になっていると思います。

 

ブーレーズウィーンフィル

同じオーケストラですが、こちらは穏やかな陽射しのもとに演奏が繰り広げられます。

いつものようにブーレーズの演奏は各楽器の音が良く聞こえ、特に管楽器のアンサンブルが目立つこの作品においては、細やかな表現も安心して聴くことができ、また複雑な和声進行が、きれいに浮かび上がってきます。

全編を通してとても美しい室内楽的な演奏だと思います。

 

●ハラース/アイルランド国立響

どちらかというと歌手よりも、バックのオーケストラの緻密な表現に耳がいく演奏に思います。そのため歌手も含めた交響曲として聴くような演奏ですが、それが返って最後まですーっと聴き通してしまうことができるような、そんな演奏に思います。激しい感情の表出というよりも、この曲の諦観を深刻になりすぎずに、客観的に描き出した演奏のように感じています。